指輪の品質について <2>
2023.3.10
今回は、素材の品質についてです。
お客様からいただく質問の一つに、「素材の品質は良いものですか?」というものがあります。私は「素材はプラチナ900とK18ゴールドです」とお答えしておりましたが、恥ずかしいことに、これでは説明不足だと当初は気付いていませんでした。
プラチナ900とK18ゴールド
まず、プラチナ900とK18ゴールドの意味をご説明します。
プラチナ900は、90.0%がプラチナで、残りの10%がその他の金属(割金:わりがねと言います)という意味です。当店のプラチナの割金はルテニウムです。
K18ゴールドは、24分の18(75%)が金です。残り25%の割金を何にするかで発色が変わり、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドとなります。
イエローとピンクは銀と銅で割ります。銀:銅が5:5がイエロー、2:8がピンクです。
ホワイトゴールドはまた特殊で、パラジウムやルテニウム、銀で割ります。銀や銅に対してパラやルテはとても高価なので、ホワイトは今この4種類の中では、一番高価です。
余談ですが、ホワイトゴールドは元々プラチナの代用品でした。今でもカードや会員など階級を表す時に、ゴールドよりプラチナの方が上ですが、今やゴールドの方がはるかに高価になってしまいました。
つまりプラチナ900といえば、価値の基準となるプラチナの含有量は絶対に90%以上です。品質の良いプラチナ900と、品質の悪いプラチナ900という違いはありえないわけです。
違いがあるとすれば、金属加工の会社に企業秘密があって、より発色を良くしたり硬度を上げたりするための独自配合がある場合がありますが、それも割金の中での工夫であって、品位に障るようなことはないのです。
再び余談ですが、最近、「当店では厳選した高品質のプラチナを使用しております」というキャッチフレーズを見かけました。これ、本当に止めて欲しいです。言葉上の嘘はないかもしれませんが、プラチナという素材に誤解を招くような、他のプラチナ製品に疑いを持たせるような、、。危うい言い方です。
950と850
ではプラチナ950とプラチナ850では、プラチナ950の方が品質が良いのかというと、必ずしもそうとは言えません。この違いは、硬さや加工のしやすさでもあるからです。例えばネックレスのチェーンは850が一般的ですし、950より900の方が硬度が高いので、変形や傷に強く加工性にも優れています。
金や銀も、純金(ヤキ)や純銀(サラ)はとても柔らかいので、幅や厚みをたっぷり取らないと、すぐ変形するふにゃふにゃの指輪になります。含有量としては下がりますが、K18やシルバー925(スターリングシルバー)に加工して強度と加工性を持たせるのが一般的で、かつ理に叶っているわけです。
プラチナはプラチナ
ということなので、素材そのものは、ブルガリやティファニーのような超有名ブランドのプラチナ900も、当店のプラチナ900も同じなのです。知ってしまえばなるほどという話です。
素材が良いなら、なぜ当店は低価格なのかということですが、その理由は、素材とは全然違うところにあります。これについては「マルテロドーロの指輪が低価格の理由」というコラムがありますので、興味のある方はそちらをご覧ください。