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地金歴史

金について <1> 金属としての金

2023.4.3

 今回からは金についてです。

 金はいろいろな側面を持つ金属です。装飾品の他に、貨幣、資産、宗教的な意味合いもあり、またそれが世界の各地域によって違った変遷をたどります。全てお話すると本にできる情報量ですので、ここではそのいくつかを書こうと思います。

金とは

 金といえば、高価、特別、一番、派手、豪華、豊かさといったようなイメージです。とにかく有史以来、現在まで変わることなく高い価値が認められているので、それも当然でしょう。

 銀のように化合物ではなく純金そのものが産出するため、精錬が発明される前から装飾品、工芸品として使われ、またその価値から銀や銅と並んで貨幣としても用いられてきました。

 特徴的な性質は4つあります。 

 まず金箔や金糸を作ることができる性質の展延性。1gの金が3000mまで伸ばせるそうです。次に純金は化学的な反応性が低い(変色したり錆びたりしない)という性質。空気中や水中であれば永遠に変化しません。そのため装飾品や貨幣に使われました。

 銀と同じく、熱伝導・電気伝導も優れている性質を活かして、集積回路や電導体として使われます。最後にカラー・ゴールドと総称されるように、金合金が発色する色味の豊富さです。

 ちょっと変わったところでは、金は王水という塩酸と硝酸を混ぜた液体に溶けるのですが、なんとヨードチンキにも溶けます。いわゆるヨーチンは2倍希釈のヨードチンキで、最近ではあまり見かけなくなりましたが一応、注意が必要です。

含有率の単位とカラーゴールド

 金は、その含有率を24分率で示し、その単位は”カラット:karat”で、”K”と略します。ちなみに、宝石の重さを示す”カラット”は”carat”と綴り、”ct”と略します。

 例えば”18金”とは75%の金を含んだ金合金のことで、”K18”または”18K”と示します。よく見かける単位としては、K22、K18、K14、K10、K9などがあり、日本やイタリアではK18、アメリカではK14、イギリスではK9が一般的とされています。

 金は、他の金属を混ぜて合金にすると多様な色になります。これがカラーゴールドです。混ぜる金属を”割金:わりがね”といいますが、この割金の素材、比率によって発色が決まります。

 例えばK18ゴールドは、24分の18(75%)が金です。残り25%の割金を何にするかで発色が変わります。有名なところではイエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールド。珍しいものとしてはグリーンゴールド、レッドゴールド、ブラックゴールド、パープルゴールドもあります。

 イエローとピンクは銀と銅(と、その他ごく少量の金属)で割ります。銀:銅が5:5がイエロー、2:8がピンクです。

 銀の割合を増やしていくと、黄色味が薄れ、緑味を帯びていきます。これがグリーンゴールドです。一方、銅が増えていくと赤味が増し、濃いピンク色になります。これがレッドゴールドです。銅の割合が多いほど硬くなっていくので、レッドゴールドは非常に硬くなります。

 ブラックゴールドは銀とプラチナ、パラジウムで割ります。ブラックという名称ですが、実際には濃い灰色です。

 パープルゴールドはアルミニウムで割った金で、鮮やかな紫色をしています。単に金とアルミを混ぜても、紫色にはなるものの加工性が悪く、変色しやすいため実用に耐えませんでした。これを日本のジュエリーメーカー(ジュエリーミウラ)が大学3校と連携して研究し、初めて安定した商品化に成功したものです。

ホワイトゴールド

 ホワイトゴールドはまた特殊で、パラジウムやルテニウム、銀で割ります。銀や銅に対してパラやルテはとても高価なので、ホワイトは今この4種類の中では、一番高価です。当店のホワイトは、ルテ:銀がほぼ5:5です。パラジウムはアレルギー傾向が高い金属なので、パラ割りではなくルテ割りを使っています。

 ホワイトゴールドは、元々プラチナの代用品でした。今でもカードや会員など階級を表す時に、ゴールドよりプラチナの方が上ですが、今やゴールドの方がはるかに高価になってしまいました。

 次回は金の2回目です。